こんな方におすすめ
- SNSで見たシミ取り情報を信じていいのか不安な方
- 市販のケアでは満足できず、セルフケアに惹かれている方
- お金をかけずにシミを取りたいと考えている方
最近、SNSで「ひまし油と重曹でシミが取れる」という投稿が流れて来ました。
『肌が赤く腫れて、かさぶたになって、それが剥がれたらシミが消えました!』
そんな体験談に「有益情報すぎる」「やってみたい!」といったコメントがたくさんついているのを見て、私は正直、胸がざわつきました。
私もずっと、肌トラブルやシミに悩んできたひとりです。 だからこそ、この情報を鵜呑みにしてしまうと「危ない」と感じてしまったんです。

なぜ危険?ひまし油と重曹でシミが取れる"原理"
ひまし油(キャスターオイル)と重曹を混ぜてシミに塗ると、肌が赤くなり、腫れ、かゆみが出たりします。やがてその部分がかさぶたになり、剥がれるとシミが取れたように見える──。一見「すごい!」と思いますよね。
でも、その原理をよく考えてみてください。
これは、肌に炎症を起こして、意図的に“傷を作っている”状態なんです。
アルカリ性の重曹が肌のバリア機能を壊す
重曹はアルカリ性です。肌はもともと弱酸性なので、アルカリ性の物質を長時間のせるとバリア機能が破壊されます。
そこに油分(ひまし油)が加わると、皮膚の内部まで刺激が届きやすくなり、炎症が起きます。
では、なぜ炎症が起きると“かさぶた”になるのでしょうか?
肌はダメージを受けると、「治そう!」とする働きがはじまります。 このとき、傷ついた部分を守るために、かさぶた(=自然な保護膜)を作ります。
これは体の防御反応で、ばい菌が入らないようにしたり、新しい皮膚を下で作るための“ふた”のようなものです。
でも、本来健康な肌にわざと傷を作ってしまうと、その修復過程で色素が沈着したり、うまく治らず“跡”になったりすることがあります。
つまり、「かさぶたができた→シミが取れたように見える」というのは、肌が無理やり傷を修復しているだけで、肌の健康が改善されたわけではないのです。
傷つけて「剥がす」行為はリスクが高すぎる
かさぶたになってはがれたあと、シミが取れたように見えるのは、“傷”によって肌表面の細胞が削れただけです。
深く傷ついた部分は再生しにくく、色素沈着や瘢痕(跡)として残ることも。
転んでひざをすりむいて、かさぶたが取れたときに元の肌より白く見える──でもそれは、皮がむけただけで「治療」じゃない、ということです。
SNSの体験談は魅力的でも、だれも責任はとってくれない
「ひまし油+重曹」でシミが取れたという体験談は、確かに驚きがありますし、写真つきのビフォーアフターを見ると説得力もあります。
でも、それってあくまで“その人にはたまたまうまくいった”というだけかもしれません。
肌の状態、体質、体調、シミの種類……同じ人なんてひとりもいません。
誰かが紹介した方法をまねしてもし合わなかったら? ひどく腫れたり、色素沈着が残ったり、むしろシミが濃くなったりしても──
SNSの投稿主は、その責任をとってはくれません。

実はシミって、皮膚科で安全に取れます
あまり知られていないのですが、シミには保険適用で治療できるものがあるんです。
たとえば、以下のようなものが該当します:
保険適用になることがあるシミ(※医師の診断が必要)
- 脂漏性角化症(年齢とともに出てくる茶色い盛り上がったシミ)
- 老人性イボ(見た目がいぼ状のもの)
- 色素性母斑(茶色くて平らなあざのようなもの)
- 炎症後色素沈着(虫刺され跡・ニキビ跡がシミになったもの)
これらは「治療が必要」と医師が診断すれば、数千円程度で治療できます。
保険適用外でも意外と手が届く
そばかすや日焼けによるシミ(老人性色素斑)は、美容目的とされることが多く保険適用外になりますが、 美容皮膚科でのレーザー治療は1箇所あたり数千〜数万円程度。
高額な化粧品を何本も買うより、確実で安全な方法と言えます。
「まず皮膚科へ」のすすめ──安くて安全な選択肢
私たちはつい、「美容医療って高そう」と思いがちですよね。
でも、実際にはひまし油や重曹を買って、肌が傷ついて、それを治すためにまたお金がかかって……となるより、最初から皮膚科で相談する方が安心・安全・コスパがいいと私は思っています。
何より、皮膚科の先生は「その人の肌にとってベストな方法」を提案してくれます。
傷が残ったあとよりも、傷を作らない方法を選ぶほうが、肌も心も元気でいられる──そう思いませんか?
まとめ:「正しい情報」で、自分の肌を守ってあげてください
私は、自分が悩んできたからこそ、 「こうすればシミが取れるよ!」という言葉の魅力にひっぱられそうになる気持ち、すごくわかります。
でも、その方法が“かさぶたができるくらいの炎症”を前提としているとしたら── それはもう、スキンケアではなくて、自己責任で行う実験です。
自分の肌を、見知らぬ誰かの投稿にゆだねないで。 まずは、専門家に見てもらうという選択を、選んでほしいと私は思っています。

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